20220224 僕はキャラ萌えができない。

友達のP(プロデューサー)の配信を聞きながら、こう考えた。

おれは昔からアイドルを好きになる気持ちがよく分からなくて、どっちかというとバンドとかシンガーソングライターのことばっかり好きになってた。
それはなんでだろうと考えたら、おれは「音楽を媒介にして自己を表現している人」が見たいのではなくて、「音楽を通してその人がどう考えているか、どのような過程を経てその表現をすることになったのか」、みたいなところを知りたいのだろうなと思う。
そのためには、人の作った歌詞や曲を歌っているだけでは不十分に見えるのだろう(うまく言語化できているだろうか?)。

もちろんアイドルや歌手のものでも好きな曲はたくさんあるし、でもそこから辿っていってその人自身を好きになる、みたいなことはほとんどなかったように思う。そういう場合は、むしろ「この人が歌っているこの曲を作ったのはこの作曲家か!じゃあ、この作曲家が提供している他の曲も聴いてみよう」という広がり方の方が多い。

考えてみると、おれがアニメやマンガや小説やエロゲを体験している時も、それを通して見ているのはキャラクターではなく、それらが紡ぐストーリの後ろにある作家やライターの思想なのだろうと思う。

例えばおれはエロゲで言うと『こなたよりかなたまで』が好きだけど、そこで見ているのは「末期癌の少年と永遠の命を持つ吸血鬼の寂しさと心の共有」みたいな構造だし、ラノベの『さくら荘のペットな彼女』が好きなのは「周囲に比べて才能がないアーティストの夢と現実との折り合いの付け方」という構造だし、言ってしまえばこれはキャラクターの見た目が違っていたって別に成り立つだろうなと思う。
便宜上、もっと言えば「いまや愛着がある」という点でおれは「ハルハラ・ハルコはニャハハお姉さんだから好きー」とか言ってるけど、本当におれがハルコを好きなのかと問われるとよく分からない。そもそもニナモの方が好きだし

滝本竜彦なんかはその極地だなって感じがする。おれは「『NHKにようこそ!』と『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』は同じ着想の話をガワを変えて2回書いてるだけ」と事あるごとに声を大にして主張しているけど、だからこそ滝本竜彦は愛せるなと思うし、あれはどちらもガワに美少女があるだけで滝本竜彦私小説でしかないと今でも思っている。

まあつまり、陳腐な言い方をすると、おれは作品を通してその人の哲学とか感受性みたいなものを好きになっているのだろうと思う。だからこそ、その際の思考の主体と表現の主体は一致していてほしいのだろうな。Vtuberはホロライブよりもにじさんじの方が好きだし、にじさんじよりも個人勢の方が好きだ。ピーナッツくん……好きだ!!!!!!(突然の告白)

漫才で言うところの「ニン(人)が見える/見えない」のようなかもしれない。どれだけ綺麗に伏線を張って作り込まれたネタも、結局その人自身の魅力を最大限に引き出すようなネタには勝てない。
……ということを言おうとしたけど、よく考えたらこの「ニンが見えるネタ」っていうのは、別に作家が作っててもいいのではないか!?!?そう考えると、別に表現のアウトプット自体に統一性があればおれはキャラを愛することもできるのか……?
難しくなってきたな。別におれ、木村カエラはそこそこ好きだったしな。ニンの話とはまたちょっと別なのかもしれないね。混乱させてしまってすまない。

あと、少し話は変わるけど、おれが『グータンヌーボ』を意外と見てるのも、『突然ですが、占ってもいいですか?』が結構好きなのも、そういう理由なんだろうなと思う。ある程度自分の経験や感性に根差した「自分自身の感想」を聞かせてくれるし、占い番組に関してはそれを無理やり明らかにされる部分もあるんだけど、それを受けて話し出す占われる側の言葉はある程度本物だろうと思う。

結局のところ、おれは自分のことを知りたくて、そのために他人の「自己認識」みたいなものをかき集めているだけかもしれないね。

↓おれのかなりわかりみの深いTwitterの下書き見てください

つーことで、だからやっぱりおれは中学生のころに好きになったシンガーソングライターの人がよくよく調べてみたら全然着エロに堕ちててマジで凹むし、他人に歌わされてるなーという人のパフォーマンスを見るたびに「お前の内蔵(ハラワタ)を見せてくれや」と思うし、曲を書いてもらっているアイドルが「大人たちに支配されるな」みたいなことを歌っているとよくわからんなーと思うわけですね。

余の考がここまで漂流して来た時に、余の右足は突然坐りのわるい角石の端を踏み損くなった。平衡を保つために、すわやと前に飛び出した左足が、仕損じの埋め合せをすると共に、余の腰は具合よく方三尺ほどな岩の上に卸りた。肩にかけた絵具箱が腋の下から躍り出しただけで、幸いと何の事もなかった。……

 

今度からブログの末尾は全部『草枕』で締めようかな。どうせ形而上の話ばっかりしてるし。

bye♪